ヤジ馬の日本史

日本の常識は世界の非常識?この国が体験してきたユニークな歴史《日本史》の不思議をヤジ馬しよう!

怪人編36/乱暴者で図々しくて恥知らず

~武士Aが従弟であり同僚の武士Bの妻Cに横恋慕し、その挙句に殺人を犯した~ 現代なら、さほどに珍しいとも思われないお話ですが、「武士」が登場している のですから、お話は昔の昔のことに違いありません。 その辺にいささかの興味を覚え、今回ちょっと首を突っ込んでみることにしたものです。 さて、武士とは紹介されていますが、AもBもいわゆる「北面の武士」とのことです から、どうやら武士政権の鎌倉幕府が成立…

逆転編30/江戸幕府御触書の紆余曲折

江戸幕府の第三代将軍となった徳川家光(1604-1651年)の政治姿勢を眺めると、 少なからず「上から目線」であることに気が付きます。  家光の祖父である初代将軍・家康(1543-1616年)も、また父である二代将軍・ 秀忠(1579-1632年)も、かつては諸大名らと共に戦地を駆け巡った経験を持つ 人物です。 ところが、既に徳川幕府が成立した後に生まれた家光にはそうした経験は皆無です。 そこて…

デジャヴ編31/血統交代ありの万世一系

七世紀半ばから八世紀末に至る間に在位した歴代天皇の方々に、その代数順に 並んでいただくと以下のようになります。(数字は代数/女性天皇は女帝と表記) ~38・天智-39・弘文-40・天武-41・持統女帝-42・文武-43・元明女帝-  44・元正女帝-45・聖武-46・孝謙女帝-47・淳仁-48・称徳女帝-  49・光仁-50・桓武~ さらに付け加えておくなら、46・孝謙と48・称徳は諡号こそ異な…

陰謀編37/新権力が持つ厄介な性癖

ある種の原則、あるいはい通過儀礼と言っていいのかもしれませんが、歴史には ~新権力者は必ず旧権力者を悪く言う~ こうした性癖が厳として存在しています。  いささかみみっちい感じがしないでもありませんが、そうすることによって、つまり 「悪者を成敗した・失脚させた」という理屈由付けをすることで、自らの正当性が主張 できるのですから、これはある意味当然なことなのかもしれません。 言い換えれば、新権力は…

もしも編15/架空と実在は史料頼み

~犯罪などで被疑者・被告人が犯行に関わっていないことを推認させる間接事実の  一つが「アリバイ」( alibi)で、「現場(げんじょう)不在証明」とも訳される~ これが、犯罪ドラマなどによく登場する「アリバイ」という言葉の意味です。 さらに詳しく迫るなら、 ~犯行が行われた際、被疑者がその場に存在していなかったことを主張(現場不在証明)  し、犯罪の直接的な実行が不可能であったことを主張するのが…

信仰編18/地域神社のミスティック碑文

とあるヒマ人(実は筆者のこと)がネット徘徊していたら、筆者の生息地域にある 小さな神社に触れた記事に遭遇したと思ってください。  その神社はさほど有名でもない・・・というよりは、むしろまったく無名と 言った方が適切な印象です。 ただ筆者は以前からその神社の名称が珍しいこと、それに境内に立てられた小さな 石碑に彫られた文言、これらについて素朴な謎を感じていました。 そうではあっても、直ちに解決しな…

パクリ編21/思い付きで、街道をゆく

国民作家・司馬遼太郎(1923-1998年)による紀行文集『街道をゆく』は、 著者本人の逝去によって43冊目の「濃尾参州記」を最後に絶筆(未完)となりました。 それを読んだわけでもないのでよく知りませんが、タイトルはおそらく、 美濃国・尾張国・三河国を指しているのでしょう。 もしそうなら、筆者にとってもまるっきり無縁ともいえません。 なんでなら筆者は、えぇ生まれも育ちも尾張国の純血尾張人だからで…

冗談?編24/歴史用語で遊ぶ不埒者

日本で一番古い歴史書は「古事記」(こじき)だと、学校の授業で初めて教わった とき、筆者はその語感りから「乞食」(こじき)を連想してしまったものです。 今思えば、まことに不謹慎な所業でした。 もっとも、この「乞食」という言葉自体もあまり歓迎されるものではなかったようで、 後には、「差別用語/放送禁止用語」もどきの扱いを受けるようになっています。 例を挙げるなら、たとえば児童文学の名作の一つであるマ…

タブー編19/国民向け〇〇しようぜ!

日本人メジャーリーガーとして超人的な活躍を続ける大谷翔平選手(1994年生)が、 日本全国の全小学校と特別支援学校約2万校に対し3個づつ、総数約6万個の ジュニア用グローブを寄贈するというお話がつい先頃(2023年11月)ニュースに なっていました。 その折に添えられた大谷選手の言葉が「野球しようぜ!」 この言葉は「野球というスポーツに触れ、興味を持つきっかけに」との大谷選手の 思いからとされ、…

謎解き編36/御落胤の噂をあれこれ詮索

唐突な話題で恐縮ですが、いわゆる「天一坊事件」の経緯を簡単に示すなら 以下のような説明になるようです。 ~江戸時代中期、山伏の天一坊改行が、江戸幕府8代将軍・徳川吉宗の落胤を  称して浪人を集め、捕らえられ獄門になった事件~ ここに登場している文言にも少し触れておくなら、こうなります。 〇天一坊改行(1699-1729年)/御落胤を自称して浪人を集めたことで逮捕・処刑。 〇徳川吉宗(1684-1…

付録編23/地元再発見のプチプチ船旅

去る11月19日の日曜日のこと、筆者の生息地である名古屋市熱田区において 恒例のイベントが開催されました。 その名称は~あったか!あつた魅力発見市2023~ おそらくは地域名称「熱田」の韻を踏んで「あったか!あつた」としたのでしょうが、 ダジャレの域を脱していないという辛辣な感想もあるにはあったようです。 実際この舌を噛みそうな名称に挑んで自滅した律義なガイドさんもいたとか、 いなかったとか。 …

例外編11/権現様の血を引く幼女天皇

何の因果か片付け作業に手を出したまでは良かったのですが、こんな場面で棚の 隅っこからひょっこり文庫本が姿を現しました。 ひっくり返してタイトルをあらためてみると、恐ろしいことに、それは十年以上も 前に出版された小石房子著『日本史有名事件の女50人』(新人物文庫)でした。 一息つくつもりで、なにげにページを繰ったら、目に飛び込んできたのが、こんな 文章だったのです。 ~信長は天下統一のために朝廷を…

アレンジ編28/願い事は境内に隠れて咲く

ぼんやりTVを眺めていたら、こんなニュースが流れました。 ~願い事などを書いて神社に奉納する「絵馬」にシールを貼るケースが  出てきています~ これを耳にしたとき、筆者は反射的にこんな連想をしたのです。 ~なるほどなぁ、屋外に飾る絵馬だから、やっぱり雨雪などから文字の劣化を守る  ためにシールを貼ろうとする動きが出てきたのか・・・昨今のSDGs意識とやらが、  そこまで高まっているとは思ってもみ…

事始め編32/夫婦神の国生みと三貴神

日本神話の一つに「国生み/国産み」と呼ばれる物語があります。 「大八島/大八洲」(おおやしま)」、要するに、現在日本列島と呼ばれている 島々の創造過程のお話のことで、『古事記』では、その大事業の経緯はこのような 説明になっている・・・とのことです。 ~伊邪那岐(イザナギ)、伊邪那美(イザナミ)の二神は、漂っていた大地を完成  させるよう、別天津神(ことあまつがみ)たちに命じられた~ つまり、イザ…

大雑把編10/人の名前はイマも昔も難しい

女子水泳選手の「今井月」選手が、名前テロップ入りのTVコマーシャルに登場して いましたが、名に当たる「月」の部分のルビは、なんと「るな」。 スポーツ音痴の筆者は、名の「月」はてっきり、そのまま「ツキ」と読むものと ばかり思い込んでいたので、ちょっとビックリ。 ~ルナ/るな/Luna→(ラテン語で)「月」のこと。 ローマ神話の月の女神~ ゲッ、では漢字をラテン語で読んでいるということなのか? しか…

世界標準編30/瓦礫の貨幣も信用次第

最近では少数派になってしまったかもしれませんが、これまでのお買い物は、 「一万円札」(紙幣)とか「五百円玉」(硬貨)とかの、いわゆる「貨幣」を 使用することが普通でした。 えぇ、中には「いいや、ワシはとっくに“電子マネー”オンリーじゃ」と主張される方も おられるだろうことは、世間知らずの筆者でもさすがに承知していますので、どうか ご安心ください。 さて、ここからが少々うるさいお話になります。 こ…

列伝編23/知名度はイマイチですが

こんなクイズを出されて、あなたはすぐさま答えることができますか? ~徳川将軍は延べ15代を数えましたが、ではその第4代のお名前は?~ 日本史にそれなりの知識を持っている人は別として大方のところは、こんな感じに なるのでは? 確か初代の家康を初めとして、代々の徳川将軍の名前には「家」の字が付いていた はずだ。 だったら、 ~ひょっとして、家〇?・・・いえ✕?・・・(ウーム、やっぱり)言えません!~…

怪人編26/親政への執念と悪党の超戦術

日本史の「時代区分」をよくよく眺めて見ると、結構入り組んだ構成になっている ことに気が付きます。 考えてみれば、社会の複雑な変遷や経緯をそれなりの根拠に基づいて括りまとめる 作業ですから、そこにデジタル的明確さを求めることは意外に困難なことなのかも しれません。 Wikipedaで「室町時代」周辺の項目を眺めてみると、そのことがよく分かろうという ものです。 一応の区分は以下のようになっています…

信仰編17/列島民族は窮屈を嫌う

歴史風に大和民族というべきなのか、あるいは現代風に日本国民というべきなのか、 そのへんのことはよく分かりませんが、ともかくこの列島に棲む民族には、いわゆる 「窮屈」を無意識に敬遠する向き、あるいは、それらに対する「苦手意識」もどきの 感情があったように感じられます。 でもその「苦手意識」って、いったいなんのことですか? ええ、言葉を換えるなら「なるべく敬遠して触れないように努める姿勢」です。 そ…

例外編10/大名国替のトリビア抄

国替(くにがえ)/所替(ところがえ)/転封(てんぽう)/移封(いほう)/ などなど、多彩な言い方があるようですが、要するにどれもが、 ~(主に)江戸時代、幕府が大名統制策として大名の領地を他に移し替えること~ を意味しています。 実際、史実としてもそうした「国替」は盛んに行われました。 しかし、そもそもその「国(領地)」って、諸大名各自の私有財産ではなかったの? そういうことなら「国替」の、その…