ヤジ馬の日本史

日本の常識は世界の非常識?この国が体験してきたユニークな歴史《日本史》の不思議をヤジ馬しよう!

微妙編14/人間の性も多様化する時代

久しぶりのことでしたが、町内長老のご尊顔を拝する機会がありました。
お達者でなによりでしたが、不意打ち気味にこんな挨拶が降ってきたのです。
~昨日のTVニュース見たかい?~


いきなりTVニュースに話を振られても、世間並みの話題しか筆者の頭には思い浮かび
ません。 そこで遠慮がちに逆質問を。
~昨日のTVニュースって、殺人級猛暑のこと?
 それとも、某中古車販売経営陣の記者会見のこと? 
 はたまた、首狩り一家事件の続報のこと?~

いずれにせよ、あまり楽しいニュースではありません。


すると、長老が申すには、
~そういったケバケバしい話題ではない。 ウナギ(鰻)のニュースだ~
首狩り事件から一直線にウナギの話題ですから、ついていく側も大変です。
~そういえば、今月の30日が土用丑の日でしたねぇ、
 奢ってくれるお積りでしたら、どうぞお気軽にお声をかけてくださいね。
 決して辞退するようなことはありませんから~


この申し出はスッパリ無視されましたが、話は続きます。 
~そのメカニズムについてはイマイチ分かっていないようだが、普通の養殖ウナギは、
 なんでも九割方がオスになるそうだ。
 ところがだ、エサに一定期間「大豆イソフラボン」を混ぜて育てると、これが、

 なんと九割ほどがメスになるとのことだ。
 そして、そのメスはオスの二倍(400~500g)サイズに成長させても、身が柔らかい

 という特性を備えていて、いわば結構毛だらけということらしい~


そりゃあ、知らなんだなぁ。
しかし、ウナギという地味な話題を長老の方から振ってくるのは、なにかしらヘンだ。
さては、「腹にイチモツ、手にニモツ」か。

土用丑の日(本年は7月30日)


ところが、そうではなかったのです。
~昔は人間も男女の区別がはっきりしていたが、現代はウナギに負けず劣らず
 自由自在でどっちへでもいける時代なのだなぁ~
これが、養殖ウナギの「オス化メス化」のTVニュースに触発された、長老の
感想だったようです。 


長老のツイートは続きます。
~昔のことを言い出して恐縮だが、自分の子供時代は、男の子は男らしく、
 女の子は女らしく、が教育・躾の基本になっていたものだ~
うへぇ、何かしら小難しい話題に巻き込まれてしまったぞい。


そこへ長老の追い打ち。
~LGBTという概念を知らないわけではないが、自分のような昔人間からすると、
 正直なところ、どうにも釈然としないところもあるのだ~


しかし、そのように格式高く迫られても、長老の場合は、アルファベットだけで構成
された単語はイマイチ怪しい。
その意味合いを間違えて理解している向きも珍しくはないのです。
いつだったか、こんなこともありました。
~北朝鮮のIBMは確実に進化しているなぁ~


その瞬間の筆者は、「IBMは北朝鮮にも支社を設けていたのか」と新鮮な驚きでした。
ところが、後になって判明したのですが、この時の長老は、IBM(IT企業の名称)と
ICBM(大陸間弾道ミサイルの略称)を取り違えていたのです。
そうしたトホホの間違いを何度も繰り返すわけにはいきません。


そこで、今回は念のために確認です。
~長老ッ、似たような略語に「LPG/液化石油ガス」ってのもありますが、
 そちらではなく、性的少数者を意味するLGBTの方ですね~

その点は、長老側も情報武装も整備しているようで、こんな回答です。


~そう! 「Lesbian」(レスビアン/女性同性愛者)、「Gay」(ゲイ/男性同性愛者)、
 「Bisexual」バイセクシャル/両性愛者)、そして、 
 「Transgender」(トランスジェンダー/出生時に診断された性と自認する性の不一致)、
 このそれぞれのアルファベットの頭文字を採った、そのLGBTのことだ~

どうやら、今回は間違いないようです。


ただ、この後もお話は続きました。
~こうした概念が存在するとするなら、先のウナギの話題も、また昨今の人間の場合も
 オスメスという性別は結構流動的なものである。
 このことを、改めて思い知った次第だ~


そういえば、こんな話を思い出しました。
~水中生物の場合、周辺の環境に合わせて性別を変える(性転換をする)ものが
 存在し、魚の場合だと、全約3万種のうち400種ほどがそれに該当する~


そこで、その点をネットで再確認してみると、
~その一つ目のパターンは、メスからオスへ、二つ目は、オスからメスへ、
 三つ目として、オスとメスの両方に何度でも変われる魚がいる~

この説明通りだとしたら、こうした環境下では「性別」ってほとんど意味のない
概念になってしまいそうだ。


ところがギッチョン。 その前段にはこんな一文も。
~生物学上の雌雄(しゆう/オスとメス)は、人間を含む陸上生物の場合、
 生まれてから死ぬまで原則的に変わることはない~


なんだとう、「人間の性別は不変」だってか。
しかし、厄介なのは、わざわざ「原則的に」との断りを入れていることで、これだと、
「性は流動的」という長老の心証もあながち間違いではなさそうだ。


 

LGBT基礎知識(淀川区) / 銭湯(男湯・女湯)


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まあしかし、仮に「性は流動的」が正しいとしても、魚と人間の場合には決定的な
違いがありそうで、
それはそのことを自覚できるのかどうかという点でしょう。
おそらく、魚自身には、自分がオスなのかメスなのか、あるいはその間を往ったり来たり
している存在なのか、ということについてその自覚を持つことは無いでしょう。


ところが人間は、そうした一連のことに対する「自覚」を持っています。
その自覚のパターンを整理したのものが、昨今市民権を得た感があり、また長老が
今回話題として持ち出した「LGBT」という、性の多様性を打ち出した概念なのかも
しれません。


筆者の合いの手が上手かったものか、長老の話は続きます。
御老人の話が長いのは昔も今も変わるものではありません。
~「LGBT」のうちの、最初の「L」ついては、映画やドラマで描かれることもあるし、
 また、続く「GとB」については、戦国武将の日常生活などを思い浮かべれば、
 これもまた理解が及ばないことではない~


なんだ、だったらそれでいいじゃん!  ほかになにか問題でも?
~しかし、最後の「T」の、「出生時に診断された性と自認する性の不一致」って、
 いったいなんのこっちゃ。 これがイマイチ釈然としないのだ~


そうしたテーマを真正面から捉えた経験のない筆者に振るべき話題ではありません。
そうは言っても、長老を無視するなんて態度もまた、敬老の精神に反します。
そこで、スマホを取り出して、~折角だから「性自認」って言葉を調べてみます~


すると、こんな説明です。
「性自認」とは、自分の性をどのように認識しているか、どのような性の
 アイデンティティ(性同一性)を自分の感覚として持っているかを示す概念を
 いいます。 「こころの性」と呼ばれることもあります~
さらには、
~例えば「自分は男性だ」と思っている人の場合、性自認は男性と言えます~


すると長老。
~なるほど、人間には「体の性」と「心の性」があるってことなのか。
 しかし、先の養殖ウナギにはその両方はないだろうから、人間に比べたら割合
 シンプルなライフスタイルでその生涯を送っていることになるなあ~


そこで終わってくれれば有難かったのですが、人生それほど甘くありません。
~しかし待て。 そうすると、「体の性が男」で「心の性が女」という人が、
 銭湯に入る場合、それは「男湯」と「女湯」のどちらを選ぶのが正解なのだ?~


つまり、長老はこんな疑問を抱いたわけです。
~「心の性」が女性のボクは、銭湯でも女湯に入る権利があります~
こう主張し、また実行する人物がいたら、それは社会通念的には、どのように
判断するのが正しいのだろうか。


昼の時間も過ぎて腹ペコになっていた筆者は、ついつい当たり障りのない返事に。
~何もかもが激変している時代ですから、銭湯だって「男湯/女湯」の他に、
 「L湯/G湯/B湯/T湯」を整えざるを得ないかもしれませんねぇ~


すると、長老の逆襲。
~それは、建設費用などの面からしても、あまり現実的ではないゾ。
 それよりは、男・女・L・G・B・Tのすべての人間が「混浴」するスタイル方が

 話が早いッ~


なんでも、百数十年前の江戸時代の銭湯は混浴だったそうですから、
きっぱりとこう言い切ることができるのだそうです。
~そうした歴史体験を踏んできた民族だから、「男女LGBT全混浴」に踏み切った
 としても、それほど心理的な負担にはならないハズ~




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