ヤジ馬の日本史

日本の常識は世界の非常識?この国が体験してきたユニークな歴史《日本史》の不思議をヤジ馬しよう!

言葉編37/皇族だよ全員集合!

つい最近、具体的な日付なら現地時間で本年2023年5月6日(土)になりますが、
イギリスでにおいて王チャールズ三世(1948年生)の戴冠式が行われました。
これが先代エリザベス二世(1926-2022年)から数えて、なんと70年ぶりの戴冠式
だったそうですから、それを見守る側の視線にも熱いものがありました。


この折に筆者が覗いた報道には、こんな記事が流れていました。
~宗教典礼と華やかな様式を組み合わせた象徴的な儀式のため、一般市民や招待客が
 ウェストミンスター寺院やその周りに集まり、国王夫妻の戴冠を祝った。~
そして、この際には「ロイヤルファミリー」という言葉も登場していましたが、
日本語に直せば「国王の一族/王室」くらいの意味合いになるのでしょうか。


別に張り合うつもりはありませんが、そういうことなら、日本にも同様の意味合い持つ
用語があります。 「皇室」です。
ただ、その対象になる範囲を比べた場合、ばっちり「ロイヤルファミリー=皇室」
なのかといえば、正式にはなにやら微妙に異なって点もあるようで、その点を筆者も
探ってみたのですが、なにやら分かりにくくて鬱陶しいしい説明が並んでアッサリ挫折。


しかし、メッチャ大雑把な解釈が許されるなら、「ロイヤルファミリー=国王一族」、
「皇室=天皇家一族」ほどのイメージになるような気もしました。
では、国王と天皇とはなにが違うの?


そこには両民族の信仰・歴史・文化などに対する受け止め方の違いがあって、話せば
それこそロングロングストーリーになりそうなので、ここは一時的に緊急避難をする
ことにします。


 戴冠式/チャールズ三世


という経緯もあって、今回は「皇族」という言葉に注目してみたのです。
さて、人間平等の意識がしっかり定着した感のある現代ですが、しかしながら、
アナタがその「皇族」と呼ばれる立場?身分?になることはないのです。


なぜなら、皇族は「資格」ではないからです。
つまり、その類の勉強にいかに励もうがハナから道は閉ざされているということですし、
また、まことにお気の毒で残念なことですが、皇族になりたいアナタがいかに多大な
賄賂を積もうが、ムリなものはムリな仕組みになっているのです。


えぇ、江戸時代には跡取りにいない武士の家に、商人の息子が大枚の持参金をもって
養子に入るなどの巧みな縁組方法をもって実質質的に「武士の身分を買う」なんて
ことも、確かにできました。
事実、そうしたことを「旗本株を買う」なんて言葉で表していましたものねぇ。


とは言っても、その江戸時代でさえ「皇族株を買う」なんて言葉はなかったし、
また事実、そうした縁組は一般庶民にはまったく無縁のものでした。
実は、その点は現代でもその通りなのです。


では「皇族」って、そもそもがどんな方たちのことなの?
分かっているようで、いざ説明しようとしたら、実際困ってしまいそうな質問です。
そこで、こっそり調べてみると、実はこんな説明になっています。


~天皇の一族~ なるほど、違いねぇ。
でもその「一族」って、いったいどこまでの範囲なの?
昔の昔にはこんなこともあったとされていますから、少し気になるところです。


たとえば、第26代・継体天皇(450?- 531年?)は「第15代・応神天皇の五世の孫」を、
はたまた、平安時代の豪族・平将門(903?-940年)は「第50代・桓武天皇五世の孫」を
それぞれ主張しました。
要するに、「皇統の血筋」あることを主張して自らの立場を正当化したわけです。


しかし、この「五世孫」という立場は、言い換えれば「曽孫の孫」ですから、
随分と「遠い親戚」に感じられるのですが、それでも現代で言う「皇族」に
当てはまる立場なの?
ところがギッチョン、応神天皇や平将門には申し訳ないのですが、調べてみると
「皇族」の範囲は、具体的にはこのようになるとのことです。


「皇族」とは、
~三后(皇后、太皇太后、皇太后)、親王・親王妃・内親王・王・王妃・女王、
 そして上皇后の総称~

こう説明されても、「皇族」ではないアナタにはまるでチンプンカンプンでしょう。
その点は、何を隠そう筆者も全く同様ですから、ここに挙げられた方々のそれぞれの
立場を調べてみることにしたのです。 すると、これくらいの説明になっています。


その用語の数も結構多いため、少しでも分かりやすいよう、ここでは世代の古い順に
整理してみました。


太皇太后 → 先々代の天皇の皇后。
 皇太后 → 前天皇の皇后。また、前天皇の皇后で、現天皇の生母。皇の正妻。
 上皇后 → 退位した天皇の后。
  皇后 → 天皇の正式な配偶者。古くは妃、妃の宮とも。


ちなみに、こんな見解もあるようですので、そのことにも触れておきます。
「上皇后」は日本史上一度も使われたことのない称号であることから根強い
 反対意見がある。
 反対派の大多数は、歴史的に用いられてきた「皇太后」あるいはその略称である

 「太后」を用いるべきだと唱えている~


それはさておき、「皇族」にはまだ続きあって、こうなっています。
親王/親王妃 → 天皇の兄弟と皇子/その妃。  またはその身位にある者。
   内親王 → 天皇の姉妹と皇女


  王/王妃 → 天皇の子・孫で、親王の宣下のない男子。
         また姓をも賜わらなかった男子/その妃。
    女王 → 内親王の宣下のない皇族の女性。


「女王」なんて聞くと、昨年亡くなったイギリスの先代国王「エリザベス女王」を
ついつい連想してしまいますが、日本の皇族においては上の定義になるようです。
しかし、要らぬ心配だと言われればその通りなのかもしれませんが、では、ひょっこり
女性天皇が誕生するようなことがあった場合など、「〇〇女王」との呼び方では混乱を
招いてしまうことになりゃあせんか。


なぜなら、「女性天皇」と「内親王の宣下のない皇族女性」を、同じく「女王」と
呼ぶことになってしまうのですからねぇ。
しかし、国語的には「女帝」という表現もあろうし、また意識の改革が進んだ
現代社会では、敢えて女性という点を強調する必要はないのかもしれません。


そういうことなら、男性天皇も女性天皇も、お揃いで「天皇」とすればいいわけです。
ところがここまで来て、ちょっと恐ろしいことに気が付いてしまったのです。


   

          皇族旗 / 士農工商


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なんですか、その恐ろしいことって?
「皇族」構成員の内訳を、よぉくよぉく、睨んでみてください。
ええですか、そこには、その中心的存在であると考えられる「天皇」が挙げられて

いないのです。


なんぞの間違いかと思いながらその説明を遡ってみると、なんとわざわざ、
~天皇および上皇は、皇族には含まれない~
つまり、天皇御自身も上皇ご自身も「皇族ではない」とされているのです。 
アッチャー!


このことを下世話にたとえるなら、~家族の長は家族に含まれない~
こう言っているようなものですから、庶民感覚からすればちょっとばかりヘンテコに
感じられます。 
そこで、その辺をさらにひつこく追及してみると、
~天皇および上皇を含む場合は「皇室」という~


これも下世話に例えれば、
~家族の長を含む場合は「〇〇家」という~
こういうことになるのか、イマイチよく分からんままだなあ。


ということで、イギリスの戴冠式のニュースに触発されて、今回は日頃はあまり
縁のない「皇室/皇族」についてあれこれ調べることになった次第です。


こうした成り行きがあったことを町内のオジサンと雑談していたら、そのオジサンが
胸を張って曰く。
~わざわざ調べるまでもなく、皇室・皇族ってのは、昔から一般人からすれば確かに
 ややこしい家柄なのだ。
 オレはそういうことを知っていたから、ウチの娘を皇室には嫁がせなかったのだ~


ああ、さよでしたか、雑談を振って損こいちゃったなあ。



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