ヤジ馬の日本史

日本の常識は世界の非常識?この国が体験してきたユニークな歴史《日本史》の不思議をヤジ馬しよう!

発明発見編30/大判小判は世界の非常識

世界的にはほとんどが「丸い形」をしている金貨ですが、大判・小判と呼ばれる
日本の金貨はなぜか「楕円形」をしています。
もっとも正確に「真・楕円形」なのか言えば、実はそうでもありません。
これは精密な計測をしなくても一目瞭然で判断できるところです。


では表現を変えて、長方形の両短辺に円弧をくっつけた形かと言えば、これも
必ずしも正しい説明とは言えません。
長辺の方もちょっとばかり微妙な曲線を描いているからです。
しかしまあ、今回はそれに拘ったテーマではありませんから、ここでは便宜上、
その形を「楕円形」と表現することにします。


さて、そうした日本の金貨を一般的には「大判/小判」と呼んでいます。
そこで、その「大判/小判」についての説明を、もう少し丁寧に捜してみると、
~楕円形の延金の内、大型のものを大判といい、小型のものを小判という~
なんともまあ、当たり前すぎる説明で拍子抜けですが、いずれにせよ「楕円形」との
表現が用いられています。


こんな経緯から、筆者の頭にはひょっこりこんな思いが浮かんだのです。
~しかしまあ、貨幣の形状ということなら、円形・正方形・長方形など、もっと
 「シンプルで分かりやすい」形もあっただろうに、それらを除外して、シュールで

 大胆な「楕円形」を選択した先人たちの魂胆は何だったのだろうか?~


ちなみに、こうした「楕円形金貨」は世界広しといえども、日本の大判・小判だけで
あり、「世界で唯一」のものと言われています。
「他にはまるでありゃあせん」ということになりますから、この「金貨の形状」と
いう面にも、こんな真理が存在していることになりそうです。
~日本の常識は世界の非常識~

  楕円形金貨(慶長大判)


そういうことなら、この「楕円形」に落ち着いたことには日本民族独自の何かしらの
「理由」があったハズだ、ということになります。 
そのあたり事情はどうだったのだろう?
という成り行きから、その理由・背景などにも首を突っ込んでみました。


すると、こんなことが見えて来ました。
まず、実用的な面からすれば、正方形・長方形あるいは六角形・八角形などの、
すなわち「方形」や「角形」は、貨幣としての大きな欠点が抱えていることに気が
付きます。
貨幣は頻繁に、また相当に長期間使用されるので、その間には「角」の部分が
潰れ、あるいは磨耗などによって、その形状が崩れやすいという点です。


~角が取れて丸くなる~のは、人間にとっては誉め言葉かもしれませんが、
貨幣にとってはやはり重大な欠点です。
また円形貨幣に比べて「角有り」の貨幣の場合は、それを収めるケース側、つまり
「小銭入れ」そのものも傷みやすいことになります。


「小銭入れ」の内側を、絶えずコインの角が突つきまわすからです。
このことは、専門家ではない「貨幣のド素人」である筆者でも容易に想像できます。
でもしかし、これだけでは敢えて「楕円形」にしたことの説明にはなりません。
そういうことなら、世界各国がポピュラーに採用している角なしの「円形」にすれば
いいだけの話じゃないかと突っ込む余地もあるからです。


そこらあたりの点については、こんな説もあるようです。
~当時の武士の給料が米であったことから、「米俵の形状」をデザインしたのでは
 ないのか?~ 確かに一応の理屈にはなっているようにも思えます。
ところがこれも「説」であって、裏を返せば「断定はできませんし、実際のところは
よく分かりません」と言っていることになります。


ではなぜ、分からないのでしょうか。
そんなもん、決まっているじゃありませんか。
先人たちの誰一人として、「カクカクシカジカの理由によって楕円形にした」との、
背景・事情を書き残してくれなかったからです。
誰かがきちんと書き残してくれていさえすれば、現在になってああじゃこうじゃと
詮索する必要もありませんからねぇ。


言葉を換えるなら、「楕円形金貨」になったことは、当時の人々にとってはあまりに
「明々白々な理由」であったために、記録に残すまでもないと考えられたことが
考えられます。 そりゃあそうでしょう。 
「みんなが当たり前に知っていること」をわざわざ記録に残そうとする奇特な人は、
そうそういるものではありませんからねぇ。


そこで、今一歩突っ込んでみると、こんなことも言えそうな気がします。
~世界のどこにも採用されなかった非常識な「楕円形の金貨」だったが、当時の
 日本人だけは「ごく当たり前のモノ」として受け入れていた~


「世界の貨幣がほとんど円形だから」あるいは「グローバル・スタンダード」という
賑やかな掛け声に振り回された明治以降の日本政府に比べたら、そんなことに
縛られる必要のなかった先人たちの「自由奔放ぶり」には、ちょっとした羨ましさまで
感じるところです。


そういう流れもあって、ついでのことに「楕円形金貨」が誕生した経緯を、今回
ひょっこり、チャットGPTに訊いてみることにしてみたのです。
問い)昔の日本の金貨である大判や小判は、なぜ楕円形という特殊な形状に
   なったのでしょうか?


この素直な質問に対し、チャットGPTはこんな回答をしてきました。
答え)大判や小判が楕円形をしている理由は、その扱いや持ち運びのしやすさに
   関連しています。
   これらの金貨は、日本の江戸時代に広く使用されていました。
   楕円形状は、財布や袋に収める際にスペースを節約し、また身につけやすく、

   取り扱いや保管が比較的容易であることが考えられています。


   また、当時の日本では貨幣の価値が金属の価値に直結しており、金貨がよく
   切り裂かれたり削られたりしていたため、楕円形状はそのような改ざんを困難に
   する効果もありました。
   楕円形状は、金貨の偽造や改ざんを防ぐための一種の技術的な工夫とも

   考えられています。
   
   このように、大判や小判が楕円形状をしていたのは、当時の社会的、
   経済的な要因や技術的な制約から生まれたものと考えられています。


  

       粒金 / 江戸時代の貨幣


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ご丁寧な回答痛み入ります。
「財布の小型化」とか「ニセ金作り対策」も「楕円形 貨幣」になった理由だったのか。
このチャットGPTというツールの回答には、必ずしも全幅の信頼を寄せられない面も

感じていますが、今回に限れば「なるほど、一理あるのかな」と感じさせる内容でした。


さて、ここからお話は大きく脱線していきますが、医療には「貨幣状湿疹」という
用語があるそうです。
~(貨幣状湿疹とは)10円硬貨くらいの赤銅色の境界明瞭なかゆい「円盤状」の
 皮膚炎局面が多発する疾患~

では、その「円盤状」って? シンプルに「円形」という表現ではいけないの?


実は、こんな説明もありますから、その点は微妙な印象になります。
~発疹の形が円形あるいは楕円形で、赤い斑状のジクジクした湿疹をいう~
「楕円形」の場合もあるから、単に「円形」という表現では間に合わない。
そこでおそらくは、その「楕円形」の場合も含めて「貨幣状」と言い表すことにした、
ということなのでしょう。


つまり症状の名称そのものが、日本の大判・小判の形状から採られていることに
なるワケで、このことからも、この日本においては「貨幣=楕円形」の常識?が、
現代でも生き残っているように思えます。


で、お話はさらに脱線していきます。 付いて来れますかねぇ。
この「貨幣状湿疹」の症状を持った患者と、その診察医の会話です。


医者>この楕円形の湿疹は間違いなく「貨幣状湿疹」ですヨ。
患者>でも先生、そんな病名は変じゃありませんか?
   だって、世界の貨幣の大方は「円形」ですよ。
   だったら「円形湿疹」と呼ぶべきではありませんか?


うっとうしい患者ですが会話はさらに続きます。
医者>アナタの言い分は分からないでもありません。
   ですから、この「貨幣状湿疹」は日本人の場合は楕円形に、

   外国人の場合は円形に発症するのが特徴だと説明しておきましょう。


患者>なるほど、そういうことでしたか。
   でもね先生、そうすると日本人と外国人との間のハーフの方の場合だと、
   どんなカタチで発症するのでしょうか?


医者>そんなもん決まっているじゃありませんか。
   料理の「」ハーフ&ハーフ」と同じ要領で、

   半分が「楕円形」半分が「円形」になるのです


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